生地について no.1
2024. 05. 01
Author池邉祥子 / Shoko Ikebe
Category
essay
毛織物の産地 愛知一宮に向かう
コートを制作するにあたって、幾つかの機屋さんをリサーチしていた。
はじめからブランケットのような温かみのある生地を制作しようと考えていたので繊維が不均一で膨らみのある紡毛織物が得意な工場で素材のリサーチをしていたけれどどうもしっくりこない。確かに温かみはあるけれど洗練された適度な緊張感がなく、ブランドらしいこれならよいものが出来るというイメージが湧かなかった。
シャトル織機でゆっくり織る 速度の遅さは生地の風合いにも影響する
ウール毛織物でいつもお世話になっている梳毛（短い繊維を取り除き一方方向を向いている綺麗めな生地、紳士物のスーツ生地をイメージしてもらうとよいかもしれない）を得意とする工場にも相談に行ってみる。ブランケットのような暖かみがありながらどこか綺麗な印象のものを、と伝えると梳毛を使いながらも出来る可能性があると返答をもらった。
ちょうど上質なヤクの原毛でよい糸を制作したそうで、サンプルを見せてもらうとよい雰囲気。
ウールヤクの梳毛を使ったコート生地の試織を始めることになった。
2023年の1月頃の話。
80近くのおじいちゃんも現役で工場をサポートする。若い社員とおじいちゃんが働く現場。